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diary

2009年7月10日  閑かな風景

大方の所では、5月の連休あたりで田植えをするという。ゴールデンウィークを利用して、いつもは他の街で暮らしている家族が力を合わせて稲を植えるからだ。私の知人も実家にたんぼがあり、休み明けにはいつもこう言う。「まったく、身体を休めるどころか、筋肉痛で都会に戻るのだからなあ・・」日焼けした顔からは決まって白い歯がこぼれる。自然と接する、楽ではないが何か満たされる部分もあるようだ。「ま、労働分以上の対価は送ってくれるから、仕方ないんだけどな!」

今から秋が楽しみなのだ。近所の田んぼが田植えの時期を迎えた。収穫も若干遅めなのだろう。老夫婦が役割分担する。手ぬぐいをほっ冠りした妻は端に作っていた苗床から田植え機に乗せられる分だけ苗をトレーに分ける。それを麦わら帽子の夫が植えていく。機械とはいうものの、楽ではない作業。近くで番いの鴨がのんびり見守る。何とも優しい光景。小一時間眺めていただろうか。老父が畔道に上がり、チャックを下ろした。小用をたす夫を横目に、妻はヤカンから麦茶を湯呑みに注ぐ。雀がチュンチュンさえずる。閑かな風景。直接私の口に入るわけではないが、なんだか秋が楽しみになった。

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閑かな風景

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ほっとする一時