8月24日 ゲスト:近藤誠一さん
◆テーマ
『世界遺産登録の裏側
―― 近藤誠一さん 』
ゲストは前 文化庁長官の近藤誠一さん。
近藤誠一さんは、外務省 広報文化交流部長、
ユネスコ日本政府代表部 特命全権大使、
駐デンマーク特命全権大使などを歴任し、
外務省出身としては初めて文化庁長官に就任。
▲スケッチブックの言葉について詳しくは こちら(PC版)
(画像をクリックすると拡大します)
今年6月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
第37回 世界遺産委員会における新規登録の審査で
富士山の世界文化遺産登録が決まりました。
さかのぼって今年4月には、ユネスコの諮問機関
国際記念物遺跡会議(イコモス)が
45キロ離れた景勝地「三保松原」について
“山の一部とみなせない”として
除外勧告をしたことが明らかに。
しかしながら、この除外勧告を覆し
三保松原も“不可分の構成資産”として
登録が認められました。
この時、三保松原を含む
富士山の世界遺産登録に尽力された方こそ
当時の文化庁長官・近藤誠一さん。
いわゆる“ロビー交渉”が功を奏した
逆転登録の背景には
どのような交渉、根回しがあったのでしょうか。
先月、文化庁長官を退任されたばかりの
近藤さんに、富士山 世界文化遺産登録までの
道のりを伺いました。
■富士山は日本の文化
三保松原は「山の一部ではない」という反対理由に対して
近藤さんは、富士山と三保松原とは
「日本人の心の中では一体」であることに的を絞ってアピール。
除外を勧告したのは
専門的見地から検討したユネスコの諮問機関イコモス。
しかし日本を除く20の委員国に
登録を強力に反対する委員はいなかったそうです。
近藤 「日本人は素晴らしい民族で、
日本の文化は素晴らしいし、
富士山って有名だし、
その日本人が『富士山と一体だ』と言うなら
“そうかな”という
感じだったんじゃないでしょうかね」
人の手が加わり、開発が進んだ富士山。
火山としても、地質学的に決して珍しくないことから
「自然遺産」としての登録は困難。
そこで、日本人との文化的な結びつきを主張し、
20年来の悲願だった世界遺産登録がついに実現!
弘兼 「富士山は文化として根付いている
“心”“象徴”みたいなところを
認められたということなんですかね」
近藤 「富士山の特徴は
日本人の自然観を育んでくれた山だと
そういう認識が広がったんだと思います」
■非公式の食事会
富士山の世界文化遺産登録に関して
大きな話題になった「ロビー活動」。
その内容とは・・・?
近藤さんは去年11月、京都での
世界遺産条約40周年記念パーティーに集まった
各国の大使、専門家から
「有力な人、発言力のある人、尊敬されている人」を中心に
非公式の食事会へ招待。
近藤 「その時は
富士山の『ふ』の字も言わなかったんです」
この場では、人間関係の構築や、
日本が世界遺産条約を大切にしていることを
アピールし“前向きに考えてる人”と
印象付けることを重視。
弘兼 「そういうのって、かなり
自腹切ったりしてるんでしょうね」
近藤 「全然、貯金できませんでした(笑)」
■発言の順も大切
富士山 世界文化遺産登録の審査当日――
審査の流れは、議長による説明後、
意見を述べたい委員が挙手をし、
議長が発言順を決定します。
弘兼 「最初に発言する人が印象の悪いことを
言ったら、不利になるとか?」
近藤 「そう。誰が最初に、どういう方向から
喋ってくれるか、が大事なんです」
議長自身が登録の可否について
“ある方向性”を持っているならば
それに合った人を先に当てる可能性があるようです。
弘兼 「 議長に根回しして
『あの国からあててください』と
言えないんですか?」
近藤 「それは言えませんが、それとなく言うんです」
最初の発言者の意見が、
その後の議論の流れを左右するかもしれない中、
議長が最初に、指名したのは
三保松原の構成資産登録に前向きなドイツの委員でした。
そして、期待通りに三保松原の価値を訴える意見を述べ
結局、十数カ国もの多数の委員国の“応援”を受けて
三保松原の逆転登録が実現しました。
■スパイ対策
外交官時代のエピソードも披露していただきました。
滞在先に盗聴が仕掛けられているのは
“当たり前”のこととして行動し、
電話をする際には
予め決めていた暗号を駆使して会話を――、
また、外務省で、とある局長のデスクの裏側に
盗聴器が仕掛けられていた――などの
エピソードが次々に飛び出し
“社会派漫画家”弘兼憲史さんも
強い関心を示していました。
▲二人の近藤さん評は、揃って「モテる」
■ペリー荻野の怪傑!暴れん坊将軍
今週はペリーさんが、今年6月
東京・人形町にオープンした男性用着物専門店
「男のきものスクエア IORISQ(イオリスク)」を
ご紹介しました。
オーナーの早坂伊織さんは中学1年の頃から
着物に興味を持ち始め、
男性用着物専門店がない(少ない)ことから
「イオリスク」をオープン。
▲イオリスクの早坂さんとペリーさん。二人は同い年です
◆着物購入の 素朴な疑問
Q.お店で着て帰ることはできる?
基本的にできません。
着物は一部の既製品を除いてフルオーダー。
お店を訪れ、着物を購入する際は
生地を選び、仕立てるために採寸します。
Q.下着は必要?
必要です。
汗かきの方は、下着を着てから
襦袢、長襦袢などを着ましょう。
下は裾除け(腰巻)やステテコなどが一般的です。
下着を1枚着るだけで
着物の傷み方はかなり違います。
注意すべき点として、特に夏は
着物の上から下着が透けて見えないような
組み合わせにしましょう。
荻野 「アドバイスをしてもらえるのが
専門店のいいところです」
◆着物を愛する人の交流の場に
「“通常のきもの屋さん”として
オープンしたわけではない」という早坂さんに
夢を伺いました。
早坂 「“男性のホビーショップ”として
好きな方が自由に集っていただける場所を
目指したいと考えています」
荻野 「集まってきそうですね。
着物を好きな方達が語り合う場になったり」
弘兼 「着物好きの方が
遊びに来るスペースという感じですね」
▲ソフトデニム生地の着物もあります
弘兼 「マフラーがかっこいいですね」
詳しくは「男のきものスクエア IORISQ」の
ウェブサイトをご覧ください。
■お送りした曲目
◆あゝ新撰組 / 三橋美智也
(弘兼セレクション)
◆幻想即興曲 嬰ハ短調 / アルトゥール・ルービンシュタイン
◆船頭さん / 由紀さおり、安田祥子
◆イエロー・サブマリン / ザ・ビートルズ
◆歌に生き、愛に生き / マリア・カラス
(プッチーニ歌劇『トスカ』より)
◆ダンディズム / 谷村新司
◆乾杯の歌 / プラシド・ドミンゴ、シェリル・スチューダー
(歌劇『椿姫』より)
◆あなたのとりこ / シルヴィ・バルタン
(RN・ボウちゃんさんが初めて買ったレコード)
◇近藤誠一さんの名言・好きな言葉はこちらをご覧ください。
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