6月9日 娯楽映画特集! ゲスト:佐藤利明さん
◆テーマ 『 人気娯楽映画特集 』
この日の「団塊倶楽部」は娯楽映画を大特集!!
ゲストに娯楽映画研究家で
文化放送 開局60周年特別企画 「みんなの寅さん」の構成作家
佐藤利明さんをお招きしました。
顔がそっくり
弘兼さんと佐藤利明さんの共演も話題に。
(画像をクリックすると別画像を拡大表示します)
■「若大将」シリーズ
東宝が1961年から1971年まで製作した
加山雄三さん主演の『若大将』シリーズ。
佐藤 「(魅力は)大いなるマンネリです」
弘兼 「加山雄三さんは、気品がありますよね。
サラブレッドですよね。
あれがまた一つの魅力なんです。清潔感と上品さ」
『若大将』シリーズのもととなるのは
戦前の松竹蒲田映画の『大学の若旦那』に代表される
“カレッジモノ”作品。
佐藤 「小説家・黒岩重吾さんが株屋さんだった時代
大阪で『北浜の若大将』という
ニックネームがあって、そこからいただいたんです」
■「ゴジラ」および東宝特撮シリーズ
1954年に1作目が公開され、2004年まで28作制作された
「ゴジラ」シリーズ。
(伊福部昭さん作曲のゴジラのテーマが流れて)
佐藤 「血沸き肉躍りますよね」
「若大将」シリーズ誕生後は
「ゴジラ」シリーズと2本立てで上映されました。
佐藤 「当時は子どもも青春映画を観ましたし
大人も怪獣映画を観たんです。
それだけ受け止める側の幅が広かったんです」
東宝特撮シリーズ『マタンゴ』(1963年8月公開)は
『ハワイの若大将』と同時上映。
佐藤 「その心は
どちらもヨットで外洋に出る。
かたやハッピー、
マタンゴは怖い怪物に襲われるだけじゃなく
自分が(マタンゴに)なってしまう」
怪獣映画の良さは“アンチ”のカタルシス――。
『ALWAYS 三丁目の夕日』は東京タワー建設とともに
戦後日本の復興を描きましたが
『モスラ』(1961年)では
モスラが東京タワーで繭をつくり、その結果破壊されます。
弘兼 「もし今度、ゴジラシリーズができたら
狙いは当然『東京スカイツリー』ですかね」
ゴジラの身長は、初期シリーズ=50m
1984年以降、80m~(最大)100mと時代に合わせて変化。
佐藤 「スカイツリーと同じ大きさだったら
たいへんなことになる。
ゴジラ6匹が肩車してはじめて
スカイツリーと(ほぼ)同じ高さ。
壊しようがない」
弘兼 「今壊すとみんな怒っちゃいます」
スタジオでは「モスラの歌」の歌詞の意味、
ゴジラの名前の由来や、鳴き声(咆哮)の作り方、
1作目制作のきっかけ――などの話題も。
石川 「最初の時期のものを改めて観直すと
CG、VFXじゃない――
(手作りの)あれがいいなって思います」
佐藤 「東宝特撮映画を何度も観たくなってしまうのは
“職人技”ですよね」
佐藤さんが例に挙げたのは
『空の大怪獣 ラドン』(1956年)で
ラドンが博多を襲った際に、羽ばたきによって
瓦が一枚一枚はがれて吹き飛ぶシーン。
佐藤 「一枚一枚の瓦をはった人まで考える。
それも込みで『すごいな』と思う。
日本の名工の技を味わう――。
そこはVFXが進化しても
辿りつけない域だと思います」
■「無責任」「日本一」シリーズ
クレイジー・キャッツの無責任&日本一シリーズは
1962年公開の『ニッポン無責任時代』から
1971年『日本一のショック男』まで
9年間に30本にも及ぶ作品が制作されました。
佐藤 「(魅力は)植木等さんにつきますね」
サラリーマン映画が数多く作られる中、
脚本家の田波靖男さんが
無責任社員がのし上がるプロットを温めていたところ
『スーダラ節』が大ヒット。
無責任社員と植木等さん(クレージー・キャッツ)が結びつき
『ニッポン無責任時代』が誕生しました。
弘兼 「高度成長時代の日本のサラリーマンは
残業が多くて、忙しくて
その“裏返し”でこういう作品で
“うっぷんを晴らしてもらおう”
というのがあるんでしょうね」
植木等さん演じる平 均(たいら ひとし)の
自分のために取った(かなりヒドイ)行動が
結果的に、みんなを幸せにする展開が面白い!
佐藤 「無責任男は
(それまでの)“ダメ男”“C調”を超えた
“無責任”をポリシーに
この時代を生きて抜いていく
バイタリティのある男として描かれる。
ハードボイルドチックなキャラクターに
なっていくわけです」
同時上映は
森繁久彌さん・伴淳三郎さん・フランキー堺さんの
超豪華スター主演の『駅前』シリーズ。
佐藤 「『ニッポン無責任時代』は
『駅前』シリーズの胸を借りたんです」
弘兼 「『駅前』シリーズがあって
(無責任シリーズは)
レコードでいうとB面ですね」
■「社長」シリーズ
森繁久彌さん主演の『社長』シリーズは
東宝が1956年から1970年までの期間に制作。
佐藤 「日本の高度経済成長の合わせ鏡です」
弘兼 「この映画を観て
サラリーマンになりたいと思いましたよ」
佐藤 「僕も実はそうなんです。
仕事、出張、浮気・・・
浮気は“寅さん”みたいに成就しないんです」
■日活 娯楽映画
弘兼 「日活映画の特徴は
国籍がわからない西部劇…
現実感を全く無視しましたね」
佐藤 「“ファンタジック”な世界として
日活アクションを楽しもう――
ということなんです」
外国映画からインスパイアされた要素が目立った
当時の日本映画――。
赤木圭一郎さん主演の
『霧笛が俺を呼んでいる』(1960年)
ギターの演奏から始まる
『赤いハンカチ』(1964年)
両作品の元になったといえる洋画とは・・・
佐藤 「『第三の男』(1949年)です」
弘兼 「やっぱりそうですか!
アントン・カラスのギターですよね、
雰囲気が。ストーリーは違いますよね」
佐藤 「当時、スタッフや脚本家のかたが
洋画を観て『いいな』と思った印象を
ヒーローに託していく――
その印象の再現が
日活映画のロマンチシズムなんです」
■“娯楽映画特集“が”シリーズ化へ
シリーズ化された人気娯楽映画シリーズを
語り尽くすには、とても2時間では足りませんでした。
東宝、日活に絞ったこの日も…
石川 「(放送時間内に)
収まりきらないのは目に見えてましたね」
この日取り上げられなかった作品を
放送の合間にリストアップしただけでも
■東映…『任侠』シリーズ『トラック野郎』
■松竹…『男はつらいよ』『釣りバカ日誌』
■大映…『ガメラ』『大魔神』
弘兼 「(放送時間内に)
入りきらないですよ、これだけでも」
娯楽映画特集 第2弾、第3弾…にご期待ください!
■佐藤利明さんの最新情報をチェック!
佐藤利明さんの最新情報について詳しくは
佐藤利明のTICKLE ME 娯楽映画と音楽とをご覧ください。
■お送りした曲目
◆赤いハンカチ / 石原裕次郎
(弘兼セレクション)
◆いい娘だから / 加山雄三
(弘兼セレクション)
◆めんどうみたョ / ハナ肇とクレージー・キャッツ
◆MY LOVELY TOWN / 西田敏行、尾崎紀世彦
(映画『釣りバカ日誌16』挿入歌)
◆泣いてもいいかしら / 松原智恵子
(RN・世田谷のレノンさんが初めて買ったレコード)
◆二人だけの海 / 加山雄三
(佐藤利明さんが初めて買ったレコード=アルバムから)
◆クロコダイル・ロック / エルトン・ジョン
◇佐藤利明さんの名言・好きな言葉(PC版)はこちらをご覧ください。
◇過去の放送レポート バックナンバー(PC版)はこちら