11月5日 志村幸雄さんの名言
■志村幸雄さんの好きな言葉
『科学に絶対はあるが 技術に絶対はない』
私の先生のような方で、
元三菱総研の牧野 昇さんが
私にお話しくださった言葉で、
今、原発事故が起きてますが、
ああいうのを見ますと
元々、安全神話のようなものがあって
『絶対大丈夫だ』と言っていたんですが
もろくも崩れました。
核分裂とかは科学の成果で
これは普遍的な原理で、
絶対的なものである――ということなんですが
“技術”というもの――原子力発電所は
人間が自分に
都合よく利用しようとして作ったもの。
これはやっぱり“絶対”というものを排除して…。
私のように“技術”の仕事をしていますと
“技術絶対論”“技術万能主義”とか、
そういうことに
かたよりかけた説明の仕方をしたり、
物の考え方をしたりするんですが、
自分に対する戒めの言葉として考えております。
■団塊ホームルーム ~ ゲスト・クエスチョン
◆ 志村幸雄さんへの 5 Questions ◆
Q.現在のお仕事に就いていなかったら、
どんな職業を選んでいたと思いますか?
A.「教員」
私は教育学部で、うちの親から、兄弟、その結婚した相手、
全部 教員なんですね。
Q.タイムマシーンがあります。
どの時代の、誰に会ってみたいですか?
A.江戸時代中期に生きた「平賀源内」
彼は「スーパー才人」と言われて、
エレキテル、今の歩数計に似たものを作ってますし、
論文――今でいう本に“おなら論・放屁論”を書いてるんですね。
弘兼 「今だったら完全に『イグ・ノーベル賞』ですね」
Q.いま「こんなものがあったら便利だなぁ…」と思うものを挙げてください。
A.ワープロを使えないものですから
「音声入力で文字が出力するもの」を安く供給してもらえたら。
Q.科学で解明できないような、
不思議な出来事を体験したことはありますか?
A.「『氷』を作るために冷凍室に『水』と『お湯』を入れると、
先に氷になるのは『お湯』」
私がやったわけではないですが、
やっているところを見たんです。
「日本雪氷学会」で、この謎を解き明かす――といって
立派な先生が一生懸命研究していますね。
アリストテレスが
「気象論」という本の中で書いてるんです。
表面から熱が逃げていくスピードが、お湯の方が早い。
水の中に温度差による対流のようなものができて、
それで早く氷を作るのではないか――と(考えられている)。
Q.何かジンクスはありますか?
A.原稿を、締め切りに終われて悪夢を見ることがあるんですが、
「締め切りに近づけば近づくほど、原稿を書くスピードが速くなる」
“絶対 最後は大丈夫だ”――という変な自信のようなものがあります。
弘兼 「それは私も全く同じでございます。
切羽詰まった時に いいアイディアが出るんですよ。
“あと1時間しかない”というときに書き流したものが
評判良かったりするんです」
『締め切り効果』という言葉があるんですけどね。
“結婚”でも、ある程度までいくと
急に縁談がまとまる――
ということもあるんじゃないですか。
■志村幸雄さんが初めて買ったレコード
◆新世界より (ドボルザーク)
初めてチェコに行ったのが
60年代の中ごろですけど、
チェコは旧ソ連圏では
技術先進国だったんです。
5~6回行ってるんですけど、
70年代のはじめに2回目に行った時、
たまたま行ったコンサートで
『新世界より』を聴いて感動しましてね、
そこで買ったレコードが
このアンチェル(指揮)なんですね。
(志村幸雄さんがジャケットを持参してくださいました)