5月7日 ゲスト:松田道生さん
◆テーマ
『 野鳥たちの声に耳をすませて 』
5月10日から16日の一週間は愛鳥週間(バードウイーク)。
そこでゲストは、文化放送の最長寿番組『朝の小鳥』で
鳥の音源収録・構成を手がける野鳥研究家の松田道生さん。
さまざまな野鳥の声を聴きながら
観察方法、生態の秘密、素朴な疑問…
そして 環境問題や、東日本大震災が与えた影響、
人と鳥の共存を考える2時間となりました。
■“仲良し”夫婦はオシドリではなくカラスだった
仲のよい夫婦をオシドリにたとえて「おしどり夫婦」と呼びますが、
結婚式のスピーチでの使用はやめた方がいい?!
オシドリは毎年、ペアになる個体が変わる習性があり、
反対に、夫婦仲むつまじい鳥として挙がったのは「カラス」。
つがい同士の仲が良いハシブトガラスの声を聴きながら、
松田さんに解説していただきました。
◆カラスは相手が見えないと不安になり、声でコミュニケーションをとる。
◆離ればなれになった時の“優雅”な鳴き声には
ひとが携帯電話で『今どこ?』と話すような意味があり、迎えに行っている。
◆「カァ カァ カァ」から「ガ ガ ガ」と 声の間隔が短くなると危険。
(近くに巣があり、ヒナがいる可能性がある)
松田 「止まっている枝をつついたり、
木の葉っぱを落とすと最高に危険な状況ですから、
その場から去ったほうがいいです」
弘兼 「襲ってくる寸前の声、よく聴くなぁ」
石川 「カラスもオシドリみたいに仲がいいんですね」
松田 「オシドリが仲良しじゃなくて、毎年相手が変わるんです。
結婚式で『オシドリ夫婦のように…』って言ったら、
毎年相手が変わることですから、お気をつけください」
石川 「へぇ~、添い遂げるためには『カラス夫婦』!」
■カラスは横目で見ています
松田 「カラスの研究家って襲われたことないんです」
カラスは横目で見ているため、
ひとも横目でカラスを見るようにすれば、カラスは「見られている」と警戒します。
カラスがひとを襲う場合、カラスにとっても恐怖や警戒心があるため
後方から狙っています。
松田 「人間も横目で見てれば、
向こうも『見てるな』とわかりますから襲われないですね。
たとえば、ふっと後ろを振り向くとカラスが“ビクっ”とします。
時々、電線から“ズリっ”と落ちたりね」
弘兼 「面白いですね!」
■鳥に関するQ&A
リスナーの皆さんからお寄せいただいた質問にお答えいただきました。
Q.ウグイスを住宅地で見かけない時期、彼らは どこにいる?
ウグイスは藪が好きで、だいたい藪のあるところにいます。
(たとえば 東京郊外では多摩丘陵)
一年のうち、平地と山を移動することから「
また、さえずり始めるのは3月上旬ころから。
Q.ゴルフ場のカラスが、バッグのファスナーを開けて中からパンを取り出しました。
どうして食べ物があることがわかる?
ゴルフ場にいるカラスは、ひとの行動を見続けることで、
バッグの中に食べ物があることを知っています。
Q.ゴルフの「バーディー」「イーグル」「アルバトロス」は
なぜ鳥の名前?(弘兼憲史さんの質問)
ゴルフの発祥はイギリスで、イギリスのひとは鳥が好き。
バードウォッチャー人口も多いことが関係していると考えられます。
Q.シジュウカラについて――
東京と、軽井沢や日光に生息するシジュウカラで
声の力が強いのは、どちらか?(松田道生さんからの問題)
正解は東京。
明治神宮には50の縄張りがあり、東京の方が個体の数が多く
求愛の際の“競争”が激しいことから
より力強く泣いて厳しい競争を勝ち抜かなければいけません。
Q.ひばりのように小さな鳥は羽をバタつかせることなく
“グライダー”のように飛ぶこと(滑空=ソアリング)はできる?
ひばりは羽の構造上、バタバタと羽ばたいています。
風に乗ればソアリングもできますが、
元々、飛行距離が短いため、ソアリングを必要としないことが多いようです。
反対にトンビは、飛行範囲が広いため、
バタバタとい羽ばたくとエネルギー効率が悪いことから、
風に乗って上昇気流をとらえて飛んでいます。
Q.ワシとタカの違いは?
基本的に違いはありません。
学名で区別し、また、大きさの違いで、大型をワシ、小型をタカとしています。
■東京に鳥が増えたワケ
ヒヨドリは1970年代から、夏も東京で繁殖するようになり
東京でも一年中みられる身近な鳥。
東京に入ってきた理由は、
ヒヨドリが生息するための“環境”がよくなったことや
戦後に植えられた東京の“木”が大きくなったこと。
弘兼 「多摩川の水がきれいになって魚が戻ったのと似てますね。
それと、東京は木がたくさんありますね」
松田 「街の中に木がモザイク状にあるのは東京ならではです」
石川 「身近にいっぱい、いろんな鳥がいますから、
声を聴いていい時間を過ごしていただきたいですね」
松田 「都会は多いですよ」
■震災の影響
東日本大震災で大きな被害を受けた茨城、福島は
カエルを食べるタカの仲間サシバの有数の繁殖地。
里山風景が広がる地域が被災し、
稲作ができない状況は、田んぼに依存する鳥にも大きな影響があると
松田さんは心配しています。
松田 「人間のほうが大事なんですけど、
段々余裕が出てきたら、そういったものたちも出てくると思います」
■お送りした曲目
◆バードランドの子守唄 / サラ・ボーン
(弘兼セレクション)
◆ティコ・ティコ / パーシー・フェイス・オーケストラ
(弘兼セレクション)
◆Take It Easy / イーグルス
◆ブルーバード / いきものがかり
◆恋のダイヤル6700 / フィンガー5
(RN・さちこさんが初めて買ったレコード)
◆バークレイ・スクウェアのナイチンゲール / ナット・キング・コール
◇松田道生さんの名言・好きな言葉はこちらをご覧ください。
◇過去の放送レポート バックナンバーはこちら