12月5日 ゲスト:土井善晴さん
■テーマ:『父は今でも大師匠!
料理研究家・土井善晴の
ターニングポイントになった5つの食材』
ゲストは料理研究家の土井善晴さん。
料理が大好きな弘兼憲史さんは
放送開始前から
土井さんに質問攻め。
2時間の放送でも
時間の限りたっぷりと
土井善晴さんの料理や食材への
想いを 伺いました。
「ゴルフのボールがまっすぐ飛ばないのと同じように
庖丁の握り方は大事なんです。
全体の目の位置、体の向きが一転に集中しないとだめなんです」
「ゴルフと一緒やないですか」
「脇をしめた状態で、
自由に手がまっすぐ動かないといけない」
「ゴルフですよ、それ。ホンマに“脇”大事!」
土井善晴さんにつられて関西弁が飛び出す弘兼憲史さん(山口県岩国市出身)は
オープニングからエンディングまで 土井さんのひと言ひと言を
聞きもらすまいと お話に耳を傾けていました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■土井善晴のターニングポイントになった5つの食材
その1:「鯛」
土井 「鯛の力はすごい!!
かたくなってもうまい!本当にうまいです!」
好きな色は「鯛の色」
大阪料理の基本中の基本が「鯛」という土井善晴さん。
土井 「大阪の懐石で一番大事なのは
“椀刺し”といって
“お椀物=お吸い物”と“お刺身”の二つが大阪料理なんです。
“お刺身”が褒められるのは うれしいんです。
大阪料理は「お刺し身」やと
もっと知ってほしいな、と思います」
その2:「ハマグリ」
かつて家庭料理の第一人者としてテレビの料理番組で活躍された
お父さん、料理研究家・土井 勝さんの
思い出が詰まっている食材が「ハマグリ」。
3月の節句のハマグリのお椀の“吸い口”で
黄柚子を使ったそうです。
その3:「山うど」
吉兆での修業を終えた翌年(30才頃)
長野の山で「山うど」を採っている人と出会い・・・
その場で、土をはたいて、ガブリとかじった瞬間・・・
土井 「頭をガーン!と殴られるくらい
ショックなくらい、本当においしいんです。
料理屋では味わえなかった自然の力に出会ったんです。
山うどの採りたては最高にうまいです。
それ以来、篤農家のおうちを訪ねて
野菜のことを習う――ということをしたんです」
その4:「肉」
スイス・フランスでの修業時代に
「肉食文化」を学ばれた土井善晴さん。
シギ、ツグミなどを
腸だけ抜いて、暗室につるし
一週間ほどして、お腹の中が発酵して
いい匂いになったら・・・
土井 「山シギなんて、メチャメチャおいしいんです。
今、フランスでは禁猟法で禁じられてますけど
内臓をかきだしてトーストに塗って
肉の横に添えられるんです」
その5:「野菜」
土井 「フランスでは、お昼のサラダに
畑からきょう使う分だけつまんでくるんです」
“赤ちゃんをお風呂で洗う”かのように
キレイに洗い、乾いたふきんで水気をとる…
土井 「ひとつのサラダに
そのくらいの扱いをするんです」
話題は、日本とヨーロッパの野菜の“味の濃さ”・・・
弘兼 「僕がよく行くフレンチのお店は
“日本よりフランスの野菜の方がうまい”って言って
輸入しているんです。
フランスの方が“味が濃い”っていうんですよ」
土井 「日本は、匂いがしたら子供達が食べない
ということで、味をなくしていく方向にいってるんです。
ニンジンでも、ヨーロッパでは端っこをかじったらうまいんですよ。
本当に野菜の味が濃い。あんまり改良しすぎてないのがいいですね。
(改良として)トゲのないナスを作ると、
トゲがなくなるだけじゃなくて、味もなくなってしまう――
というのがあると思うんです」
弘兼 「クレソンもゴーヤも昔の方が味が濃かった気がするんです。
クレソンは臭かったですよね。でも今は食べやすくなってますよね」
石川 「何かが違う気がしますね」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■濃い口醤油とうす口醤油の使い分け
番組をお聴きのリスナーの方の質問にお答えいただきました。
Q.醤油の濃い口とうす口の使い分けは?
土井 「家庭的な煮物には濃い口
お料理屋さんのように“含め煮”として
お出汁がたっぷりの時は“うす口”の方が色がさえますね。
“うす口醤油”の方が塩分が多いんです。
だから味が決まりやすいんです。
私は、家のサラダは“うす口しょうゆのサラダ”です。
そうしますとご飯のおかずにもなるんです」
うす口醤油と米酢とサラダ油(またはオリーブオイル)を
1:1:2 で作ると、サラダの味を決めるのが簡単になるそうです。
土井 「日本は、匂いがしたら子供達が食べない――
ということで、味をなくしていく方向にいってるんです。
ニンジンでも、ヨーロッパでは端っこをかじったらうまいんですよ。
本当に野菜の味が濃い。あんまり改良しすぎてないのがいいですね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■おいしい料理を作るコツ3ヶ条
おいしい料理を作るコツを「3ヶ条」にして伝授していただきました。
1.手順(基礎)を知る
2.要領(技術)を身につける
3.感性を働かせる
土井 「“感性”とは
鍋にお肉を入れた瞬間『いい音がするな』
焼き色を見て『きれいだな』と思う感性です。
油の中に食材を入れていい音がしたら“適温”なんです。
料理というのは、美しいものとおいしい条件は一致するんです。
オムレツを焼く時、フライパンの温度が高すぎると
卵が悲鳴を上げるような音がすると、
それはくっついたり、うまくいかないですね。
まな板と庖丁が当たる音も
あんまり音がなるのはあかんのです。
音がならないくらいの
静かな音・やさしい音だと
『上手な包丁やな』と
音を聞いてわかります。
目で見て、音を聴く、手触りで感じる感性…
おいしいキャベツの千切りは
音も立てずに切っていって、触るとフワフワなんです。
切れない庖丁でガンガン切ると、ゴワゴワ…。
同じものでも味が違うんです」
土井 「 『おいしいな』と『美しいな』が一致すると
お料理をやっていて楽しいですね」
弘兼 「“切れない庖丁”はトマトを切るとすぐわかります。
ブチュっと中が出ちゃいますけど
切れる包丁はスパっと切ると中の水分が出ないですね」
土井 「トマトの方も
切られてるのを気がつかないですね」
弘兼 「(笑)」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
■お送りした曲目
◇ポーク・サラダ・アニー / エルヴィス・プレスリー
(弘兼セレクション)
◇HELLO / ビヨンセ
(土井善晴さんのリクエスト)
◇およげ!たいやきくん / 子門真人
(いつも爽やか・やる気大学さんが初めて買ってもらったレコード)
◇ハニー・パイ / ザ・ビートルズ
(弘兼セレクション)
◇味噌汁の詩 / 千 昌夫