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1月5日 ビートルズ特集! ~ ゲスト:高嶋弘之さん
◆テーマ
『“ビートルズ特集”
初代ディレクター 高嶋弘之さん 』
「ドコモ団塊倶楽部」は放送9年目に突入!
2013年最初の放送は
ゲストに、ビートルズの日本での“仕掛け人”――
当時の東芝音楽工業で洋楽を担当、
ビートルズの初代担当ディレクターとして知られる
高嶋弘之さんをお招きして
ビートルズ特集をお送りしました。
▲高嶋弘之さんが手にしているのは
ビートルズメンバーの写真(左)と幻のベストアルバム(右)
石川アナウンサーが手にしているのは
1966カルテットの公演のフライヤー
(画像をクリックすると拡大します)
今だから明かせるビートルズフィーバーの裏話、
来日公演の時の様子や、
日本語タイトル命名秘話など、
高嶋さんだからこそ知りえるエピソード満載――、
そして、この日、番組をお聴きいただいた方からの
数多くのリクエストにお応えして
時間の許す限りたくさんの楽曲をおかけしました。
デビュー50周年(去年10月)に贈る
これぞビートルズ特集決定版!!
■日本語タイトル命名秘話
『抱きしめたい』をはじめ
ビートルズの日本語タイトル楽曲の多くが
高嶋弘之さんによって命名されましたが、
その背景には、
当時の流行とは異なるタイトルにしたいという思惑がありました。
高嶋 「当時のプレスリー、ポール・アンカ、
全部『涙の…』『悲しき…』というタイトルだった。
当時“オールディーズ”という言葉はなかったんですが
今でいうオールディーズですよ。
ビートルズが出てきて最初聴いたとき、
それとまるっきり違うなと思ったので
“オールディーズ”でないタイトルをつけたい
というのが、まずあった」
原題「I Want To Hold Your Hand」を直訳すると
“あなたの手を握っていたい”といった意味ですが、
『抱きしめたい』と命名。
高嶋 「その辺は“英語いい加減”な高嶋ですからね、
どうでもいいんですよ」
弘兼 「インパクトは
『抱きしめたい』の方がいいですよね。
『手を握りたい』じゃダメですもんね」
『ノルウェーの森』の原題は
『Norwegian Wood』 (This Bird Has Flown)。
“ノルウェーの高級木材家具”を指しますが
高嶋 「詞を見ると、ある女のところに行ったら、
何もないところにノルウェー製家具があった
というシニカルな詞なんですよ。
ところが “そんなもん知るか!”ですよ」
ジョージ・ハリスンのシタールが流れてきて、
ジョン・レノンの声で歌われたら・・・
高嶋 「『ノルウェーの森』しか浮かばなかったですよ」
このほか、原題「All You Need Is Love」を
『愛こそはすべて』
「Ticket to Ride」を『涙の乗車券』とした
当時のエピソードを披露してくださいました。
高嶋 「『涙の乗車券』は
まさしく“オールディーズのタイトルじゃないか”
と自らツッコむんですが、
今歌詞を読み直してみると
『涙の乗車券』が一番ピッタリしてるんですよ」
また、邦題をつけるにあたり、
歌詞の邦訳を
駐留軍の兵隊さんに聴き取りしてもらった――
というエピソードも。
誤りがある可能性も覚悟の上で
高嶋 「オリジナルのタイトルを大事にして、
あとは歌を聴いて、
知っている単語で聴きながら
思い切って決めちゃうんです」
■世界に1枚(!)幻のレコード
この日、高嶋弘之さんにお持ちいただいた
ビートルズ関連の資料の中に
“世界的なお宝グッズ”が含まれているとわかり、
出演者・スタッフ一同、驚きを隠せず、
スタジオは一瞬にして緊迫感に包まれました。
そのお宝とは・・・
■幻のレコード『Best of the BEATLES』
当時、海外のアーティストが
日本で人気を獲得した際の慣習にのっとって
高嶋さんは、1966年のビートルズ来日に合わせて
“ベストアルバム”の製作準備を進めました。
ところが、イギリスサイドから発売許可が下りず
「Best of the BEATLES」は幻のレコードに。
すでに製作に取り掛かっていたレコードは
“確認作業”のために
ディレクター用と録音スタッフ用に残った2枚だけ。
▲画像をクリックすると拡大します
うち1枚――録音スタッフ用のレコードは
どうやらビートルズマニアの手に渡ったらしく・・・
高嶋 「その人は
(『持っている』と)出てこれないわけです。
(正規の販売ルートではないところから)買ったから。
だから僕は、それをいいことに
『世界に1枚』と言っているんです」
■4人の写真
万年筆で書かれた直筆サイン入り
4人のメンバーの写真です。
高嶋 「これ、もっと(サインのインクが)濃かったんです。
相当、色褪せてますね。
これだけの(大きさの)写真にサイン(を入れる)って
そうないと思います」
■これぞ“仕掛け人”
マッシュルームカットの流行を作り上げた仕掛け人!
東芝音楽工業の後輩を理容室に連れて行き
ビートルズの髪型“マッシュルームカット”にさせると、
その様子を週刊誌に掲載。
「今、ビートルズ・カットが若者の間で大人気」と煽り
ビートルズフィーバーを巻き起こしました。
リクエスト番組の票操作でヒットチャート上位を独占!
ラジオのリクエスト番組が盛んだった当時、
電話オペレーターのアルバイトを買収し、
ほかのアーティストのリクエストを
ビートルズの曲に届いたように模造。
高嶋 「たとえば、いつも2000として、
急に2500きたらおかしいじゃないですか。
だから、計算しながら“足した”んですよ」
弘兼 「細かい悪事を働きましたね(笑)」
高嶋 「東芝で“ベスト20”のうち18はとりましたね」
石川 「放送でここまで明らかにしていただけるとは
内心ドキドキしております(笑)」
■来日時の対面
1966年6月29日、
日本航空の客実乗務員の機転により日航のハッピを身にまとい、
羽田空港に降り立ったビートルズの4人は
6月30日から7月2日までの3日間で、
日本武道館で5回のステージを行い、
日本におけるビートルズフィーバーは頂点に達しました。
この来日時に、
ビートルズメンバーと挨拶を交わす機会が訪れ、
高嶋弘之さんは
上司の石坂専務、加山雄三さんと3人で、
旧東京ヒルトンホテルへ。
一方のビートルズは、
ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの
3人が姿を見せ・・・
高嶋 「仕事で行ってますから硬いですよ、雰囲気が。
握手をしてましたらね・・・
自然に遅れたのか、彼の演出なのか
(ジョン・レノンが)パーっと飛び出してきまして、
加山雄三さんの後ろから
羽交い絞めにしたんです。
ふざけるように」
突然のジョンのアクションに
ポールが笑い出し・・・
硬かった雰囲気は一気に和やかなものに。
高嶋 「ジョン・レノンっていうのは
苦労人だなと思いましたよ。
場を和らげた、というかね」
その後、メンバーとともに食事の予定でしたが、
高嶋さんと石坂専務は
マネージャーのブライアン・エプスタインに
別室に呼ばれたため、
食事を共にすることはできませんでした。
弘兼 「それは残念ですよね」
■現代に発信・・・1966カルテット
高嶋弘之さんが送り出すクラシカルユニットが
女性カルテット『1966カルテット』。
この日は
アルバム『ノルウェーの森~ザ・ビートルズ・クラシック』から
『ノルウェーの森』のほか、
BGMに『フール・オンザ・ヒル』をおかけしました。
弘兼 「“ビートルズのクラシック”というイメージよりも
本当のクラシックという感じがしますね」
高嶋 「パッと聴いたら
ビートルズの曲になってるんですけどね、
わかる人が聴いたら
かなり手の込んだ編曲になってる、
一番素晴らしいんですよ」
■1966カルテットのライブ予定
◆日時:1月18日(金)19時開演
◆会場:タワーホール船堀(大ホール)(江戸川区)
◆料金:全席指定(税込)3,500円
◆お問い合わせ:タワーホール船堀
◆お問い合わせ:03-5676-2211
◆ブログ:1966カルテットオフィシャルブログ「with the 1966quartet」
■お送りした曲目
◆抱きしめたい / ザ・ビートルズ
◆ノルウェーの森 / ザ・ビートルズ
◆愛こそはすべて / ザ・ビートルズ
◆涙の乗車券 / ザ・ビートルズ
◆Get Back / ザ・ビートルズ
◆Love Me Do / ザ・ビートルズ
◆Hello,Goodbye / ザ・ビートルズ
◆The Long And Winding Road / ザ・ビートルズ
◆Rock And Roll Music / ザ・ビートルズ
◆Yesterday / ザ・ビートルズ
◆Day Tripper / ザ・ビートルズ
◆Hey Jude / ザ・ビートルズ
◆Let It Be / ザ・ビートルズ
◆Help! / ザ・ビートルズ
(RN・T2さんが初めて買ったレコード)
◆ノルウェーの森 / 1966カルテット
(アルバム『ノルウェーの森~ザ・ビートルズ・クラシック』より)
◇高嶋弘之さんの名言・好きな言葉(PC版)はこちらをご覧ください。
◇過去の放送レポート バックナンバー(PC版)はこちら
2013年01月05日