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1月14日 ゲスト:若草 恵さん
◆テーマ 『 若草恵 私の音楽史 』
「昔から『この編曲、いいな』と思ったら
みんな『若草 恵』と書いてあった」(弘兼)
「一度(ゆっくり)お会いできたらと思っていた」(若草)
弘兼憲史さんと、『黄昏流星群』愛読者でもある作・編曲家 の
若草 恵さんが、お互い待望の再会!
▲石川アナウンサーが手にしているのは
天童よしみさんの新曲『おんなの山河』のフライヤー
この日の「団塊倶楽部」は
数々の名曲を世に送り出した若草 恵さんの
編曲・作曲秘話を時間の限り伺いました。
■『夜桜お七』
編曲作業の手順は「リズム隊」と呼ばれる
【ドラム、ベース、ギター、ピアノ】などの録音を先にしてから、
後日、ストリングスをダビングするのだそうです。
この「リズム隊」の録音=リズム録りの編曲を
録音開始までの、わずか2時間で仕上げた楽曲が
この日のオープニングナンバー
弘兼セレクション1曲目におかけした『夜桜お七』。
若草 「録音2時間前まで“真っ白”のままだったんです」
「方向性を考えるのが難しかった」と振り返る『夜桜お七』は
若草 恵さんが“兄弟付き合い”をしていた作曲家・三木たかしさんと
日頃からの“新しい音楽”を作り上げるべく、
コミュニケーションをとっていたことから、
その延長線上で完成した楽曲。
弘兼 「演歌なんだけど・・・和風から入っていって、
ジャズ、ロックのテイストがあって…
『いい編曲をされる方だな』と思いました」
■編曲家に
作曲家だったお父さんの影響を受け小学4年の時に
すでに将来「作曲家」になることを夢みていた若草 恵さんは
父の大反対を押し切り、音楽の道へ進み、
やがて中山大三郎さんに弟子入り。
中山先生の「アレンジをやってみないか」との勧めに、
はじめは“映画音楽を作曲したい”――と考えていた若草さんでしたが
「詞の内容に音楽をつけることは
映像に音楽をつけることと同じ」と考え『編曲』を手掛けるように。
若草 「いまだに編曲は“映画音楽のイメージ”を出そう
――というのがありますね」
他の人が作曲した曲を編曲することは
原作=文字で描写された作品を漫画化するケースと似ている
と話す弘兼憲史さん。
弘兼 「原作者を驚かせてやろうと
原作者のイメージしたものより
もっと“広がった絵”で見せたい――と
工夫するんです」
編曲について、若草 恵さんが今でも大切にしていることは、
師匠・中山大三郎先生の教え「詞の語感を膨らます」。
【中山大三郎さんの代表作】
■作詞作曲『無錫旅情』『珍島物語』など
■作詞 『人生いろいろ』『しらけ鳥音頭』など
■詞の世界で変わる編曲
編曲作業には、
メロディだけではなく、詞の世界観を知ることが必要。
しかし、アイドル全盛時代は
詞が完成しない段階=メロディが完成しただけの状態で
編曲を依頼されることも。
若草 「辛島美登里さん(の楽曲制作)もそうでした。
だから『どんな内容の詞にするのかだけFAXください』
――と、そんなこともありました」
弘兼 「そうですよね。
明るくするか暗くするか、全然違いますもんね」
石川 「同時平行的に進んでいて、レコーディングの時に
初めて合体することがおありなんですね」
■命名:若草 恵
師匠・中山大三郎さんが命名した『若草 恵』は
中山先生の好きな詩人『若杉 彗』(わかすぎ・けい)さんが由来。
“宝塚のような名前”
“めぐみ”――と言われることが多かったそうですが
『若草 恵』を名乗ることで
やがて自分自身の“演出”ができるようになった――と実感。
若草 「自分の音楽自体もきれいになってきた気がしますね」
■印税
編曲に印税はなかった!
曲がヒットしても、編曲家の収入は変わらない“買い取り”制。
若草 「10年くらい前からカラオケの“演奏権”で
印税のようなものがもらえるようになりました」
弘兼 「後輩のためにも、印税、著作権はそうするべきですよね」
■名曲誕生の裏側
若草恵さんが編曲を手掛けられた楽曲の中から
5曲を選び、名曲誕生の際のエピソード伺いました。
◆また君に恋してる / 坂本冬美
壮大なオーケストラでのレコーディングに同席した
CMクライアントの女性担当者が、感動の涙!
若草 「坂本冬美さんが『また女性を泣かせましたね』って(笑)
それを聞いて本当にうれしかったですね」
◆風の盆恋歌 / 石川さゆり
富山市八尾町のお祭り「おわら風の盆」がテーマ。
若草 恵さんが手掛けられた曲の中で
弘兼憲史さんの最も好きな曲。
編曲は、時間ギリギリの作業となって
レコーディングを遅らせてしまい・・・
若草 「スタッフの方に白い目で見られたのがわかったんです。
(完成して)一回流したら皆さん、すごい喜んでくれました」
弘兼 「大絶賛でしょう。イントロが素晴らしいですよ」
弘兼さんは この曲にインスパイアされたことで
「おわら風の盆」を『専務島耕作』の物語の舞台にしています。
漫画で「おわら風の盆」を知った方も きっと多いはず。
◆見上げてごらん夜の星を / 石川さゆり
アルバム『二十世紀の名曲たち』より
日本の名曲をオーケストラ演奏で収録するため
チェコ・フィルハーモニー・オーケストラとの共演が実現。
ドヴォルザーク・ホールで聴いた時の感想は・・・
「真綿で包まれたよう」
「こんな感動を味わえて(音楽活動を)やっていて良かった」
◆why?~真夜中の予感~ / 伊藤美裕
若草 恵さんが作曲を担当。
レコード大賞新人賞を受賞した伊藤美裕さんの
セカンドシングル。
自身が作曲した曲を自ら編曲することなく
他の編曲家にゆだねる心境は??
若草 「作曲と編曲と違っていまして、
編曲は全体のサウンドを表現しますけど
作曲はメロディライン、
詞とのコンビネーションみたいな部分がありまして、
できれば自分で編曲もやればいいんですけど、
作曲するだけで力尽きてしまうんです」
◆ふたりの舟歌 / 天童よしみ
若草 恵さんが作曲を担当。
2011年の日本レコード大賞で作曲賞を受賞。
若草 「もう一度作曲家になりたいという夢を思いまして
書いたのが『ふたりの舟歌』ですね。
天童さんの声をどういう風に生かすか――が
作曲のポイントでした」
■『おんなの山河』を作曲
若草 恵さん作曲
天童よしみさんの40周年記念作品
『おんなの山河』は2月8日発売。
(数量限定で天童よしみさんの人形付きで販売)
弘兼 「この人形ほしいな!(手元にあるのは)紅頭巾バージョンですね!
かわいいな(笑)」
若草 「かわいいですね。テイチクからお届けさせます」
■お送りした曲目
◆夜桜お七 / 坂本冬美
(弘兼セレクション)
◆すずめの涙 / 桂 銀淑
(弘兼セレクション)
◆おんなの山河 / 天童よしみ
(2月8日リリース / 天童よしみ 40周年記念シングル)
◆Smile / 細野晴臣
◆僕の贈りもの / オフ・コース (発売当時)
(RN・なゆさんが初めて買ったレコード)
◆The End of the World / ナンシー・シナトラ
(若草 恵さんが初めて買ったレコード)
◆BABY, IT'S COLD OUTSIDE / ロッド・スチュアート、ドリー・パートン
(映画『水着の女王』挿入歌)
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