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12月5日 土井善晴さんの名言
野菜の味というものは はかないものです。
そこにお肉が混じっていたら野菜の味がダメでしょ。
日本料理は、一種類だけをお料理するのが一番で
その味も、噛んで、きちっと食べることで
自分で味を探すんです。
これは“探し味”という、日本人の食べ方です。
弘兼 「たしかに、何種類もあって、
少しずつ食べるとわからないけど
ヒジキならヒジキだけで、ご飯一杯で食べると
ヒジキの味って、すごくよくわかりますよね」
お肉の味はわかりやすくて、
大きな音でロックコンサートを聴くような楽しみがありますけど
野菜の味というのは“川のせせらぎ”とか“鳥のさえずり”みたいに
静かにしてないと聴こえてこないような、いい音――それと同じなんです。
日本の季節は繊細ですから、
気を付けていれば、野菜にはそういうものがいっぱいあるんです。
石川 「自分の“純粋さ”“敏感さ”を確かめることができそうですね」
そうなんです。だから“おいしければいい”いうものじゃないんです。
子供たちは、ちょっとした“苦み”とかいろんなものを感じて
いろんな“味覚”によって五感を磨くことになるんじゃないかと
思いますよね。
■土井善晴さんの好きな言葉
『食べること 生きること』
食べることというのは「暮らし」そのものをつくるわけです。
今「食事」っていったら
“ご飯を食べること”だけを食事というみたいですけど
“材料を買って・調理して・ご飯を食べて・後片付けをして”
これを全部まとめて「家の食事」です。
そういうことと「生きる」ということは同じことだと思うんです。
昔、縄文時代は“獲物をとって・協力し合って・分けて・食べて・・・”
というのが「暮らし」そのものだったと思うんです。
弘兼 「鯛の絵を描いていただいて
“青”を入れていただいて
たしかにサクラダイは一番いい季節に
青みがパッと映えるんです。
あの青が美しい青ですからね」
天然の魚は、いろんな色があって
魚を眺めてるだけでも「きれいだな」って思えますよ。
弘兼 「泳いでるサンマとか見たら、
背中が本当に青くてきれいなんですよ」
石川 「“旬”だと光り輝いて色合いも違うわけですね」
「きれいだな」と思うようなものを買っていただいたら
それは鮮度がよい証拠です。
(左)『ふだんの料理がおいしくなる理由』(講談社)
定価:1,575円(税込)
(右)まねしたくなる 土井家の家ごはん』(講談社プラスアルファ文庫)
定価:680円(税込)