トットちゃん
黒柳徹子さんが司会を務める番組「徹子の部屋」が昨日27日の放送で1万回を迎えた。
同じ司会者による最多放送のトーク番組として2011年にギネス世界記録に認定され、昨日放送された番組であらためて放送1万回のギネス認定証を受け取られたそう。徹子さんだからこそ、なしえる業。
1976年に番組がスタートし、40年。
わたしも(端くれながら)メディアで働く者として、
『同じ番組が長く続くこと』そして、『ずっと担当し続けること』がいかに大変なことか。
そのご苦労は計り知れないけれど、どれだけすごいことかを想像することはできる。
私が文化放送「近藤真彦くるくるマッチ箱」のアシスタントするようになって2年が経った。
近藤真彦さんとのお話の中には、お友達である黒柳徹子さんとのエピソードがたびたび出てくる。<いつも明るくておもしろいエピソード満載。>マッチさんも、黒柳さんも、共通して「人を楽しませよう」という気持ちのある方だと思う。
ユーモアは人をラクにさせる、ものすごいパワー
最近、『トットひとり』(黒柳徹子著/新潮社)を読んだ。
黒柳さんには、私がゴールデンラジオを担当していたときに初めてお会いした。そのときに思った。--なんて素敵なオーラのある方なんだろう!
恥ずかしながら、私はベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」を読んだことがなかった(昔は全然本を読む子じゃなかった)
なのに、先日、本屋に入ったら吸い込まれるように手に取り、この「トットひとり」を買った。そこで私は、黒柳徹子さんについて多くのことを初めて知るのだった。
幼少時代から個性が強かった徹子さんのまわりではいろいろなことが起こった。つらいことも多かった中で、常に健康的な明るさを持って、裸足で駆けてゆく少女のように素敵だった。(私はずっと黒柳さんのこういうところに惹かれていたのか。)やっとわけがわかって、胸がすっとするのだった。
おととしラジオでお会いしてから、ル・テアトル銀座で行われた黒柳さんの舞台「ステラとジョーイ」という二人芝居を観た。(長時間の芝居をなんと二人だけでやっておられた!)そして、今年は、今月末までEXシアター六本木で行われている舞台 黒柳徹子主演海外コメディーシリーズ『ルーマーズ 口から耳へ、耳から口へ』を観た。
ユーモアたっぷりの舞台。どちらもひとりで観に行った。ルーマーズに至ってはひとりで声に出してゲラゲラ笑った。
人間が大好きな噂話(ルーマーズ)をテーマにした、テンポの早い会話劇。
早いテンポの劇だからこそ【聞く力】が重要になってくるのだろう。徹子さんが一番他の役者の声をよく聴き、(おそらく台本にない)ツッコミを即座に入れていた。どの役もコミカルだったが、やはり徹子さんの持つパワーが一番すごかった。
徹子さんが、80代になってもなお舞台に立ち続けられる理由。
それは、ご本『トットひとり』のエッセイの中にあったように思う。
素直で感受性が豊か。
何かに恐れることのない探究心。
ケラケラと周りを明るくさせる力。
そんな徹子さんと同じにおいを持った、時代を生きた人たちのお話。
静かな悲しみを、柔らかいガーゼで大切に包み持ち歩いているような...愛おしい気持ちが詰まっていた。
これを読むと、今の「徹子の部屋」が40年も続いてきている「その歴史」に、若輩者のわたしでも少し触れられた気持ちになる。
テレビ女優の道へは、「将来自分の子どもに上手に絵本を読み聞かせてあげたい」というきっかけだったという。
--その嘘偽りのない"おちゃめな理由"も大好き。
プロフェッショナルはすごい、と豊かな読了感を得るのだった。
<わたしも わたしなりに 進んでいこう> そう思えた。