2013年12月11日

きらきらと情熱の奥。

小さい頃から、私は百科事典を読むのが好きだった。
とくに、誕生石のページが好きだった。

赤・紫・水色・オレンジ・オーロラ・白、、、
12に分かれて光るその宝石にいつも魅せられていた。

私の誕生石。

1月生まれはガーネット。

なぜか、大嫌いだった。

くすんだような落ち着いた色の赤は、キラキラ輝く石に魅せられていた少女にはやや退屈だった。

弟は、水色のアクアマリン。
母は、薄紫のアメジスト。
父は、緑色のペリドット。

なんだよ、みんなキラキラして。
百科事典を見ながら、幾度となく怒った。キラキラ輝くのが偉いようにみえた。

オパールなんて、海の中、洞窟の中、を眺めているようだったし、

トルコ石は、宇宙から地球を眺めているようだった。

それぞれの良さがあった。


でも、ガーネットにはあまり惹かれなかった。

じっと黙っているような、情熱を溜め込むような、赤黒い石。

なんでそんなに溜め込むんだろう。
見ていると苦しくなった。

一番触れて欲しくないところを触れられるようで、
なんか嫌だった。

意地をはっているように思えた。

吐き出せばいいのに!
溜め込んだっていいことないのに!


ためしに、ネットで「ガーネット」とひいてみる。

パワーストーン「ガーネットの意味」...
ガーネットは努力と向上と繁栄を象徴する石。永久の愛と幸福をもたらしてくれます。


『ほんとかよ。』

これが素朴な感想。


努力。

たしかに

努力の色といわれればそうかもしれない。

腹の下の方で、グツグツと煮える何かを抱えて 向かう。

その方向が 正しいのか 正しくないのか は分からない。

でも、その場所に居続けない。

なぜか絶えず何処かへ向かって歩もうとしている。

そんなところが似ているような気がした。


いつだったか、幼い頃 母の化粧台で遊んでいた時。
小さな小さな指輪を二つ見つけた。

誰の指にも入らないような 小さな指輪には、小さな小さな石がついていた。

ひとつは、みずいろの石が。
もうひとつには、赤い石が。


「これはね、ベビーリングってゆーの。あーちゃんと、しゅんちゃんのだね」

そこにあった赤の石は、綺麗だった。

紛れもなくガーネットだったけど、
小さければ小さいほど、キラキラと情熱的に輝いていた。親の愛情もあいまって。


奥に秘める情熱や努力は  あまり見せるものじゃないのかもしれない。

見せないから、いいのかもしれない。

そこだけが、ガーネットの好きなところだ。

なんでもアリッサ:13:39


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