文化放送番組審議会概要報告
第332文化放送番組審議会は、平成18年10月31日に行われましたが、議題として
「走れ!歌謡曲」を審議し、各委員から次の様な意見が出されました。

○ オプニングの音楽を聴いた瞬間にすっとこの世界に入っていけた自分に驚いた。1社提供で、トー
  クやコーナーがゆったりとしたリズムで構成されていてごちゃごちゃしていない心地よさがその理由
  の一つだ。1人の女性パーソナリティが2時間ゆっくりしたリズムでフルコーラス聴かせるというシン
  プルな構成がうまくいっている。
○ この番組が始まった頃は、ニュースを読むだけでは飽き足らない女子アナが自分の言葉で相手
  に伝えたいという気運が出て来た時代で、反響も大きかった。演歌歌手がパーソナリティになった
  のは車を売るという販促目的の編成の結果だった。最近の路線トラック運転手の世代交代や
  、看護婦さんや魚屋さん等新しいタイプの深夜労働者の変化に対し手直しが必要だ。
○ 実は、私はこの番組の20年来の結構熱いリスナーだった。演歌だけで暮らしている様な人間から
  すると、久し振りに聴いて演歌の置かれている必死さが良く分かる。声が聴こえないメールではな
  く、情報の入り中は肉声で日本全国の色々な景色が浮かんでくる電話の方が良い。お友達感覚
  の喋りしか出来ないパーソナリティには放送作家や構成者がアドバイスすべきだ。
○ ゆったりとしたリズムで天気予報やニュースを読むとバスガイド風になるので、曲紹介の時は自分
  なりの表現を工夫して欲しい。全体的には非常に緩やかな時間が流れていて、奈良時代か平安
  時代にいるような雰囲気にさせられた。曜日毎に個性が違う人がやればメリハリが出る。
○ 我々が寝ている時間に、流通の担い手をしている人達に何かを送るという事は素晴らしい。この
  時間帯は、ターゲットが非常に明確で、テレビでは出来ない、ラジオだから出来る番組だ。「お酒
  は仕事を終えてから」というネットクレジットを入れられるのは素晴らしい事だ。
○ 歌謡曲のメロディはほとんど同じだが、歌詞がさらに貧弱で意味不明な言葉の羅列が多い。我々が
  口ずさむようなキャッチフレーズやいい言葉の入った歌詞に恵まれてないのが演歌の課題だ。ドラ
  イバーの運ぶ物や、高速道路店舗の変化の情報が何とか電波に乗るコーナーがあると良い。
○ 39年間変わらないテーマミュージック「口笛天国」は非常に懐かしく思い出された。全体に非常に
  家族的な雰囲気で、その輪の中にリスナーが加わっていく構成に深夜の連帯感が脈々と生きてい
  る。「歌声喫茶」は、歌詞を先行して言ってくれるので、知らない曲でも一緒になって大声で歌える
  いい企画だ。「ドラパラ」のツボ・マッサージも実際にやってみたくなる大変いい企画だ。
○ テーマ曲といい、同じ時間帯でパターンをほとんど変わりなく長く続けるという事が大変貴重だ。ま
  すますデジタル化していく時代に、ゆったり感というのは最も心に訴えるのでこの基本姿勢を忘れな
  いで欲しい。より面白くしたり、新しいリスナーを獲得するためには曲のバックグラウンドやプラスアル
  ファの情報があるとよい。
○ これだけ長く続くと、それこそ樹齢何年という古木みたいな番組で、もう動かしがたいもので何とかち
  ゃんと残して欲しい。最近の演歌の歌詞が貧困だという意見があるが、はっきり分かるから貧困さが
  目立つのであって、演歌・命みたいな人もいるのでそれを守った形でこの番組が続くとよい。

  第332回文化放送番組審議会の出席委員は以下の方々です。
       黒井千次委員長・加藤タキ副委員長・寺尾睦男委員・白井勝也委員
       四方洋委員・松尾羊一委員・弘兼憲史委員・松永真理委員・荒川洋治委員

                                      文化放送番組審議会事務局

    番組審議会議目次

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