古典落語の代表作『死神』ってどんな話なの? バリエーションは?

古典落語の代表作『死神』ってどんな話なの? バリエーションは?

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古典落語には色々な演目がありますが、その中でも有名なのが『死神』という噺です。内容がわかりやすく面白いので、長年多くの人から愛されています。

サゲ(話のラスト、落ちの部分)のバリエーションがいくつかあるのも特徴で、噺家によって内容が変わるのも魅力の一つ。今回はそんな『死神』についてご紹介します。

目次

  1. 『死神』のあらすじ
  2. 『死神』のサゲのバリエーション
  3. 古典落語『死神』を一度は聴いてみよう

『死神』のあらすじ

あるところに、借金まみれの男がいました。彼は返済のために新たに金を借りようとしましたが、どこからも借りることができません。そんな姿を見た男の妻は、あんたなんか死んでしまえというひどい言い草ぶり。

悲惨な状況から本当に死んでしまおうと決めた男は、首を吊ろうとします。するとそこに、死神が現れました。はじめは「お前のせいでこんなことになった」と怒る男ですが、死神は男に金儲けの方法を教えると言います。

その方法とは、医者になることでした。この世で病を患っている人には死神がついており、それが枕元にいれば助かることはない、しかし足元にいれば呪文で死神を追い払い、病気から回復させることができるというのです。これを利用して病人を治せば金が稼げると言いました。

その呪文を聞いた男は、さっそく医者としての活動を始めます。そんなある日大富豪がやってきて、病を治してくれと言いました。幸いにも死神は大富豪の足元にいたので、男は呪文を唱えます。すると死神の姿は消え、大富豪の病気も治りました。

この一件が知れ渡り、男は名医として担ぎ上げられます。借金だらけの状態から一財産を築くほどになり、生活は一変しました。しかし妻を捨て新しい女とぜいたくをしたせいで、すぐに資金が底を尽きてしまいます。

しかたなく再び医者として活動を始めましたが、残念なことにやってくる患者は死神が枕元にいるばかりで、男は病を治せません。そのうちヤブ医者と呼ばれはじめ、信用がなくなっていってしまいます。そんなある日、豪商の家に呼ばれ「病を治せば大金を支払う」と申し出がありました。

男が見ると病人の枕元に死神が立っており、このままでは呪文は効きません。そこで彼は布団のまわりに男たちを並べ、死神が眠そうにしている隙に布団を180度回してしまいました。そして足元が死神の横にきた瞬間に呪文を唱え、豪商の病は全快します。

怒った死神は、男を地下の世界へと連れて行きました。そこには色々なろうそくが並べられており、それぞれ炎が灯っています。これは何かと男が尋ねると、死神は人間の寿命だと答えました。そしてとりわけ短いろうそくを見せ、それが男のものだと告げます。

豪商の一件で騙された死神は、もともとの男の寿命と、豪商の寿命を取り換えてしまったのです。焦って寿命の引き延ばしを懇願する男に、死神は別のろうそくを差し出し、火を移すことができれば新しい寿命が与えられると言いました。

男は今にも消えそうな自分の寿命のろうそくを持ち、火を移し替えようとします。しかし焦ってなかなか上手くいきません。その様子を見ている死神は「早くしないと、炎が消えて死ぬよ」と言います。

『死神』のサゲのバリエーション

『死神』のサゲとしてもっとも一般的なものは、新しいろうそくに火を移そうとする男が、緊張と焦りからなかなかうまくいかず、「ああ、消える」と言って終わるというもの。最後のセリフを言った噺家が、ひっくり返ります。

これは男が死んでしまったことを表していますが、死んだ男が死神となり、新しい男のもとに行って同じような儲け話を提案するというパターンがあります。また、死んだと見せかけたところで目が覚め、実は夢落ちだったというサゲも。

この他、男がろうそくに炎を灯せるパターンもあります。しかし移し替えた炎をくしゃみやため息で消してしまったり、ろうそくを持って地上に出た際に「もう明るいから消したらどうか」と死神に言われ、間違って吹き消してしまうなど、結果的に男は死を免れません。

お正月などのおめでたい席では、ろうそくの移し替えに成功し男が無事に生き残る内容になります。これは「誉れの幇間」と呼ばれ、客層を見て男が死ぬサゲがふさわしくないと判断された場合にも披露されるものです。

この他にも、噺家やお笑い芸人らによって様々なオチを迎えるのが『死神』の特徴です。

古典落語『死神』を一度は聴いてみよう

『死神』は幕末~明治の落語家、初代三遊亭圓朝がグリム童話『死神の名付け親』をベースに作りました。そこから200年以上、多くの噺家によって親しまれています。落語を楽しむうえでは必ず知っておきたい古典落語なので、ぜひ一度聴いてみてください。

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