8月6日のゲストは
脚本家の中園ミホさん。
『やまとなでしこ』『ハケンの品格』
『ドクターX外科医 大門未知子』
『花子とアン』など数多くの
ヒットドラマの脚本を手がけた
中園ミホさんに
脚本家転身のきっかけや
取材方法などを伺いました。
■ 唯一の脚本家修行は写経?! ■
ある日、知人のお知り合いの男性に
ひと目惚れをした中園ミホさん。
脚本家のその男性が仕事で缶詰め状態に
なっているホテルのロビーで「待つ」
という日々を、数か月続けました。
「ストーカー」という言葉が一般的では
なかった時代です。
とうとう「警察を呼ぶよ」と言われ
迷惑をかけていたことに気付いた
中園さんは失意の中・・・
あることをひらめきます。
「脚本家になれば、
またあの人に会える」
そこで、すべての本が所蔵されている
国立国会図書館で
その男性に関連する出版物を調べ
内容を全てノートに書き写しました。
(中園)「当時、コピーが30円して
高かったので、大学ノートに
全部書き写しました。
それが私の唯一の
"脚本家修行で・・・」
(中島)「写経?」
「好きな人の書いたセリフを写したい」
――という想いで書き写しているうちに
いつしか脚本の「構造」が
わかってくるようになったそうです。
(中園)「法則のようなものが
やっぱりあるな、というのが
わかってきて」
(中島)「無我夢中でやってるところから
何か掴むってすごい才能やね」
中園ミホさんの脚本家デビューは
それからわずか2年後に訪れました。
■ ヒットドラマを生み出す取材法 ■
人気ドラマのヒットを支えるのは
綿密な取材です。
『やまとなでしこ』では
客室乗務員との合コンで、
『ハケンの品格』では
派遣社員の人とのお酒の席を重ね、
本音を引き出すことに成功。
そこで知ったエピソードは
ドラマにも反映されました。
◆ 客室乗務員の不自然な笑顔
客室乗務員×フジテレビ男性スタッフの
合コンでは、女性陣に対し
「男性の評価のポイント」を質問。
顔・ファッションセンス・話の面白さ
それとも・・・お金?
「お金なんて」――と否定する
スチュワーデス(当時)の面々の
無言の笑顔が、不自然に長かった――。
その後、遅れてやってきた男性が
おもむろに置いた
「車のキー」(ポルシェ)に
スッチー軍団の視線が集中!
(中園)「つまり
"こういうこと"じゃないか
と思って。そのまんま
『やまとなでしこ』の1話で
使わせていただきました」
(中島)「車っていうのは
ステータスやったんですよ」
◆ 本音を言えない派遣社員
商社のOLへの取材では
上司の悪口や不満が続出したのに対し
派遣社員の女性は
「仕事で大変なことは?」と聞いても
「正社員・派遣社員分け隔てなく
よくしてもらっている」――と
笑顔で答えるのみ。
(中園)「この"笑顔"は前にも
見たことがあると思って
気になったんです」
その後、取材(アフター5のお酒)を
繰り返し、大人数を呼んでの取材で
ついにある一人が
"セクハラ"の話を打ち明け、
その場の全員が泣き出しました。
実際には、職場で差別やイジメが
蔓延していたのです。
(中園)「これは絶対
書かなきゃいけない、と」
◆ 名ゼリフ誕生秘話
『ドクターX ~外科医・大門未知子~』で
米倉涼子さん演じる
"失敗しない外科医"大門未知子の
名ゼリフ「私、失敗しないので」
これはロンドンオリンピック 柔道
女子57kg級で金メダルを獲得した
松本 薫選手の
インタビューのコメント
「ミスはしないので」が
元になりました。
中園さんは脚本執筆の際、
登場人物を、ありありと思い浮かべて
書くそうですが、
米倉さん演じる大門未知子は
(頭の中で)動いてくれず、
煮詰まった状態が続きました。
そんな時に耳にした
松本選手の自信に満ちたコメント。
これを未知子に言わせたところ
みるみるとキャラクターに
命が吹き込まれていき・・・
(中園)「それからはどんどん書けたので
松本さんに感謝してます」
■ 中園ミホさんの最新著書 ■
■著書『ぐーたら女の成功術』
(文藝春秋/1,200円+税/2016年8月5日発売)
詳しくは こちら
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