1966年の「ザ・ビートルズ」来日公演から
今年で50年――。
そこで6月25日はゲストに
東芝音楽工業(当時)で洋楽を担当された
ビートルズの初代ディレクター、
現在は高嶋音楽事務所 社長の
高嶋弘之さんをお招きしました。
ビートルズの日本での売り出しに
様々な手段を駆使した
"仕掛人"に
国内盤レコード発売時の宣伝方法、
来日秘蔵エピソードを伺いました。
■ 仕掛け ■
「ザ・ビートルズ」日本盤レコード発売前
いち早く、その音楽を聴いた
高嶋弘之さんは
当初「なんじゃコレ?!」と
感じたそうですが
その後、イギリス音楽誌をにぎわす
ビートルズ関連記事を目にするにつれ
『あだやおろそかにしたら
えらいことになるな』と方向転換。
高嶋さん自身
『プリーズ・プリーズ・ミー』が好きだったことから
日本ではまだ知られていないグループの
売り出しに全力を注ぎます。
そこで"仕掛けた"こととは・・・
◆ "ビートルズルック"の権利を譲渡
西銀座デパートの洋服店
「京橋テーラー」にかけ合い、
ビートルズ(の音楽)日本上陸により
「すごいことになる」
「洋服の権利をあげる」と
煽りたてたのです。
こうしてノーブル・キャッスルの
襟なしジャケットが製造されることに。
(高嶋)「そんなもん(権利)
持ってませんよ」
▲レコードジャケットの裏面に広告(右)
その際、30着をもらいうけ、
セールスマン、宣伝マンに着せて
銀座の街を歩かせました。
◆ "ビートルズカット"の現象
部下にカツラをかぶせて
行きつけの理髪店へ連れて行くと
理容師の見習いの人によって
"ビートルズカット"に変身。
そしてスポーツ紙カメラマンに
撮影を依頼。
芸能ニュースで
「早くも現れた
"ビートルズカット"希望の青年」
と報じられることに。
(高嶋)「"現象"で
見せようとしたんですよ。
ビートルズブームが来てる
みたいに」
◆ "ビートルズギャル"の悲鳴
女子高生を招待して
レコードコンサートを開催。
一部の生徒には
合図で「キャー!と叫ぶように
指示をしておき・・・
(高嶋)「ビートルズのファルセットが
出たらね、
そういうムードになりますよ。
で、合図したら
『キャー!』でしょ。
帰る頃には全員が
『キャーー!!』ですよ」
そして、コンサートの回数を重ね
参加者も増加したそうです。
■ 日本語タイトル ■
『I Want To Hold Your Hand』の
邦題を『抱きしめたい』としたのは
高嶋弘之さん。
原題のままでは「長い」ということで
短くするために邦題をつけました。
(高嶋)「英語のよくできない、
適当な高嶋だから
『抱きしめたい』に
なっちゃったんです」
(中島)「直訳すると
『手を取りたい』
『手をつなぎたい』
くらいですよね。
これはインパクトあった。
『I Want To Hold Your Hand』
は"抱きしめたい"って
訳すんだと思ってましたよ」
放送では高嶋弘之さんが邦題を付けた
『抱きしめたい』
『ノルウェーの森』
『愛こそはすべて』をおかけしました。
■ 来日エピソード ■
1966年、
ビートルズは日本公演のために来日。
この時、高嶋さんは
加山雄三さん、石坂敬一専務と一緒に
宿舎のヒルトンホテルの部屋へ
表敬訪問。
この時、
ジョン・レノンの姿が見えない・・・
と思ったら
突如、背後から加山雄三さんを
羽交い絞めに!?さらに
(高嶋)「ふざけたように
振り回したんです。
そしたら、難しい顔した
ポール・マッカートニーが
笑ったんです。
その場がいっぺんに和んだ」
はたしてジョン・レノンは
たまたま遅れてやって来たたのか、
はじめから演出を考えたのか――
(高嶋)「いたずら好きとは
聞いてましたけど、
ジョン・レノンはやっぱり
リーダーだなと思いましたよ」
なお、その直後の会食で
加山雄三さんはメンバーと一緒に
すき焼きを食べましたが、
高嶋さんと石坂さんは
マネージャーの
ブライアン・エプスタインに
別室に呼ばれ、ビジネス談義に・・・。
(高嶋)「すき焼きはナシですよ(笑)」
■ ジョンとポール ■
来日から50年。
ビートルズが今なお愛され続ける
理由を、高嶋弘之さんは
どのように考えているでしょうか。
(高嶋)「なんといってもビートルズは
ジョンとポールの
作詞作曲能力。
そして二人の
"稀代のヴォーカリスト"。
エンターテインメントを超えた
いわゆるメッセージ性を持った
最高のヴォーカリストですよ」
■ お宝アイテム ■
高嶋弘之さんは、秘蔵のお宝アイテムも
スタジオに持参してくださいました。
▲4人のサイン入りです
▲発売されなかった幻のベスト盤
■ 高嶋弘之さんの著書 ほか ■
■著書『「ビートルズ!」をつくった男
レコード・ビジネスへ愛をこめて』
(DU BOOKS/1,680円+税/2014年9月発売)
詳しくは こちら
高嶋弘之さんが
「ビートルズをクラシックで」 の
コンセプトで送り出す
クラシカルユニットが
女性カルテット『1966カルテット』。
(高嶋)「ジョンとポールを考えて
2ヴァイオリンにしたんです。
ピアノの前にチェロが座り
その両サイドに二人の
ヴァイオリンが立ってるから
カッコいいんですよ」
2014年には、イギリス
「アビイ・ロード・スタジオ」での
レコーディングが実現。
アルバム『アビイ・ロード・ソナタ』を
リリースしました。
1966カルテットについて
詳しくは こちら
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