この日は、中島信也さんにとって
広告業界の大先輩、
コピーライターの 仲畑貴志さんを
ゲストにお迎えしました。
▲中島さんの手には『コピーのぜんぶ―仲畑貴志全コピー集』(2002年発売)
仲畑貴志さんは1981年、23歳の時に
企画・コピーを担当した
サントリートリスのCM「雨と子」篇で
カンヌ国際広告映画祭 金賞受賞。
1982年には
TOTO ウォシュレットのコピー
「おしりだって、洗ってほしい」
(出演:戸川純さん)が
大評判となるなど
数々の名コピーを発表し
80年代 コピーライターブームの
立役者のお一人として脚光を浴びました。
そして現在も、株式会社ナカハタの
クリエイティブディレクター、
コピーライターとして
「若手以上に」(中島談)
数多くの企画を担当されています。
■ 広告界へ ■
高校卒業後、
広告代理店36社で不合格――。
「そのままやっては、もうダメ」
と思った仲畑貴志さんが
37社目で
"合格"を勝ち取った方法とは・・・
クリエイターの中でもスター的存在の
大御所・売れっ子が手がけるような
新聞の1ページ広告の中から
特に世に広く喧伝されている
コピーを切り抜き、
白い紙を貼って
自分のコピーを書く というもの。
(中島)「そのアイディア、
企画がいいですね」
■ "新商品"との出会い ■
(仲畑)「僕らはゼロから出発しないと
いけない時に
差し掛かったわけ」
仲畑さんが、糸井重里さんや
川崎 徹さんとともに
コピーライターブームの
先頭に立って活躍されていた頃、
広告を取り巻くマーケットに
変化が起こります。
世に登場する"商品"が
それまでの 機能の「良し悪し」で
競走していた時代から、
性能差がなくなり
「好き嫌い」で選ばれる時代へと突入。
広告は、性能のアピールではなく
いかに好感を得るか――、
イメージ訴求の方向へと
方向転換していきました。
(仲畑)「エンターテインメントだったり
いろんな要素を付加しないと
好きになってもらいない」
また、新たな特性を持った商品が
生まれてくることは
ほとんどなくなり、
従来の製品の機能を強化した
新モデル商品の登場が続きました。
(仲畑)「僕らの時代から、
新しい特性を持って生まれた
商品は担当してない。
ウォークマンと
ウォシュレットだけだね」
全く新しい商品
TOTO ウォシュレットの登場で
仲畑さんの名コピーも誕生。
「おしりだって、洗ってほしい」
(仲畑)「ケツなんか
洗わなかったんだから。
それを"洗う"っていう、
全く新しい文化を持ち込む
商品と出会えて
よかったなと思うね」
■ 第11回 トイレ川柳 結果! ■
仲畑貴志さんはTOTOの
トイレ川柳 審査員をお務めです。
先日、第11回の受賞作品が決定し
この日の番組でも
「妄想五・七・五」内で
ネオレスト賞(最優秀賞)を発表。
「家族とは 同じトイレを 使うこと」
仲畑さんの選考理由は・・・
(仲畑)「何回もやってるから(今回で11回)
ネタが枯渇してくるでしょ。
一等賞って
ど真ん中の句がいいよね。
家族って、つまるところ、
"こういうところ"じゃん。
(同じトイレを使うとか)
一緒にメシを食うとか」
中島さんは
過去10年の入賞作品を集めた
トイレットペーパー型の川柳集
「トイレ川柳十年鑑」を
しみじみ見ることがあり
次のように感じるそうです。
(中島)「今 生きてる人たちの
営みが出てるということで、
時代を感じるものもあって、
川柳って面白いですね」
■ 集中力の持続は20分 ■
(仲畑)「「コンセントレーション――
集中できるのは
年食うと20分くらいなのよ」
コピーを書いて「いい」と思っても
それよりいいものを――と
何度も何度も、繰り返し書くことで
名コピーが生まれるそうです。
(仲畑)「何回 繰り返せるかの
勝負だと思うわけね。
若い時はそれが2時間とか、
朝まで できたけど、
今は20分くらいだね」
集中できなくなった時は、
人により
「手を洗う」「音楽を聴く」など
気分転換の方法があるそうですが、
仲畑さんの場合は
「飲みに行く」。
(中島)「それは次の
コンセントレーションの
ためになるんですか?」
(仲畑)「ならないね。
ただもう
『ダメだ』ってやつだね(笑)」
一方で、長年の経験により
アイディアをひねり、
考えを巡らす時間は
以前よりも無駄をなくして
スピード化が可能に。
(仲畑)「つまんないものは
(そもそも)頭から消していくから
(集中できる時間が減っても)
クオリティは
アップしてると思うね」
(中島)「修行を積んでいって、
(言葉を)置く前に、
いらんもんがわかると
20分で飲みに行ける、と。
僕も、やや わかる。
時間かければいいかと言うと
(そうではなく)
"無駄な道"を
いかないようにする」
■ 『ようなった』 ■
(中島)「どうですか?
(今の)中島信也」
(仲畑)「ちょっとは
ようなったんちゃう?」
番組のゲストとして
仲畑貴志さんをお迎えするにあたり
放送前は
緊張と恐怖とで
明らかに普段と雰囲気が違った
中島信也さんでしたが
広告業界32年――
ついに 偉大な先輩に認められ、、
崩れ落ちるようになりながら
喜びに包まれた瞬間――。
(小尾)「満面の笑みだ!
本当に嬉しそう!」
(中島)「仲畑さんに
これ言われるのに
何十年かかると思う!
もう涙出てきた・・・」
■ 「もうちょっと、いいのを作りたい」 ■
仲畑貴志さんに
これから目指すことを伺うと・・・
(仲畑)「もうちょっと
いいのを作りたいね。
それしかないな」
(小尾)「こんなにたくさん
いい作品があるのに
"もっともっと"
ということですよね」
(仲畑)「ターゲットも
マーケットも
商品の特性も 変わる。
いつもゼロから出発するから
おもろいね。
同じことやってたら飽きるし」
(中島)「常にゼロに
リセットをしながら
もっと ええもんを作りたい
といつも思う。
全国のコピーライターを目指す
少年少女の皆さん、
しっかり心に留めておきましょう」