この日のゲストは
大東文化大学 文学部 准教授の
山口謠司さん。
大東文化大学大学院
文学研究科博士課程を修了後、
フランス国立高等研究院で学ばれ
イギリス・ケンブリッジ大学
東洋学部共同研究員を経て、
現在、母校・大東文化大学の
中国学科で教鞭を取っている
山口謡司さんは中国の言語や文化、
日本語に関する著書も数多く、
最近は、四季の言葉を解説する
『にほんご歳時記』
(PHP新書/780円+税/2015年発売)が
発売されたばかりです。
■ 歳時記 ■
"歳時記"とは
6世紀に中国で書かれた
「荊楚歳時記」(けいそさいじき)が最古。
農業をする上で必要な季節の変化や
年中行事などを記録したもの。
日本での歳時記は
江戸時代に発展し、
季節の移ろいを言葉に残し、
俳諧・俳句の季語を集めています。
(中島)「俳句の人が
親しんでいるものですね」
日本は、世界の中でも
四季の気候の変化が
はっきりしている国――。
(山口)「日本ほど四季の移り変わりが
奇麗なところはないと思います」
たとえばフランスは、
夏が終わるとすぐに冬がやってきて
秋が短いそうで
"日本の秋"のような文化を
楽しむことができないそうです。
■ 秋に向けて ■
8月も下旬に差し掛かり、
今年の夏も終わりに近づいていますが
この時期、小尾ちゃんと同じ気持ちの人も
多いはずです。
(小尾)「夏が終わってしまうのが
寂しいんですよ」
夏の終わりを寂しく感じる理由を
"祭りのあとの物寂しさ"と例える
山口謡司さん。
(山口)「(夏が終わって)
燃え尽きていくというか。
でも"秋"も燃えてますけどね。
"火"がついてるんで。
あれも"燃える"ということです。
作物がどんどん燃えていくような」
(中島)「実は豊かなシーズン
ということなんですね。
秋に向かって
"ワクワク"というのも
あってもいいかもしれません」
(山口)「ワクワクしてください」
■ 『にほんご歳時記』 ■
山口謡司さんの最新刊
『にほんご歳時記』に掲載の内容から
一部ご紹介しました。
◆マグロは冬の季語
江戸時代、マグロは
夏場はすぐに腐ってしまい
冬にしか食べることができないため
マグロは冬の季語なのだそうです。
(山口)「今のように
冷凍マグロはありませんからね」
(中島)「昔の方が季節感が
強かったんやろうね。
その時に食べなきゃいけない
ということで、
お腹もいっぱい
壊してたんじゃないかな」
「寿司」の食べ方は
舌の上にネタが来るように
口に運ぶのが正しい――とするのは、
腐っていないかどうかを
確かめていたのだそうです。
(山口)「通の人の食べ方といいますけど
実は腐っているかいないかを
確かめるためだったんです」
◆虫の声に季節を感じる日本人
虫の声に季節を感じるのは日本人だけ?
日本人は右脳が発達し
自然の音がよく聞こえるそうです。
一方、海外の人は、
虫の声を
ただうるさく感じるのだとか。
夏の虫の代表格の一つ
「セミ」の鳴き声が
「ミーーン、ミンミン!!」と
力強いものから
「ジジジ・・・」と
"最後の声を振り絞る"ようなものへと
変わると、夏の終わりを感じます。
(中島)「そこらへんで『あ~、
季節がな・・・(変わっていく)』
と思っちゃうんですけども」
(山口)「だから日本語は
オノマトペ=擬音語・擬態語が
外国に比べると
ものすごく多いといわれますね」
海外ではオノマトペを
"子どもの言葉"と捉える傾向が
あるようです。
(中島)「幼稚といえば幼稚
なのかもしれないですけど
言葉に置き換えずに
"音"をそのまま
表現していくということですね。
けっこう豊かなんや」
■ 山口謡司さんの最新情報 ■
■『にほんご歳時記』
(PHP新書/780円+税/2015年発売)
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山口謠司さんの最新情報は
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