今朝も400年続く農家の17代目、NIPPA米(ニッパマイ)を作られている田中潔(たなか・きよし)さんとオンラインをつなぎました。
カメラマンとして東京で仕事をしていた田中さんが、400年続く農家の17代目になることを決めて、地元・新波に戻ったのは2010年。米作りを始めてすぐに、東日本大震災が起こりました。その後しばらくの間、原発事故の風評被害に苦しめられることになりました。また、その4年後、2015年には鬼怒川が氾濫するほどの関東・東北豪雨に襲われます。新波エリアの田んぼもすっかり水に浸かってしまって、全体が「大きな水たまり」のような状態になったそうです。そして、今回の新型コロナウィルス騒動。次から次へと起こる想定外の事態。農家になったばかりの頃、米作りを「自分でコントロールして作っている」と思っていた田中さんは、相次ぐ災害に「人の力ではどうにもならないことが、すごくある」ことに気づいていきます。思い通りにならなくて、悶々とする毎日。
そんなある日、お父様がこんな一言を。
「長くやっていりゃ、そんなこともある。たかだか10年くらいで何を言ってる」
その言葉を聞いたとき、父親が自分の人生の時間軸ではない物差しでものを言っていることがわかった、と振り返ります。「それが、400年続く農家ということなんだ」
どんなに大変なときにも、ありがたかったのは、友人やお客様たちが心配をして駆けつけたり、連絡をくれたりしたこと。その一人が、カメラマンの仕事で出会って以来お付き合いを続けている、作家の池井戸潤さん。豪雨の際にも「田中さん、大変なんじゃないの?」と連絡をくださったそうです。実は、池井戸さんの小説「下町ロケット ヤタガラス」に出てくる殿村さん(トノ)の実家の設定の一部に田中家が使われているそうです。「トノがやりたいこととやるべきことで葛藤するシーンは、僕の気持ちと一緒で、とても嬉しかった」と、田中さん。そのご縁もあって、NIPPA米のラインナップには「殿村家の米」という名前の商品があります。「NIPPA米」と検索して、HPをご覧くださいね。購入もできます!
最近では酒米にも力を入れている田中さん。今年は新しい酒米づくりにチャレンジし、とてもいいコメが収穫できたそうです。日本酒になって食卓に並ぶときが待ち遠しいですね。