2002.11.09 マクロスヒストリー

西暦1999年、突如宇宙より飛来した物体は、
全長1200メートルにも及ぶ巨大な宇宙戦艦であった。
人類のテクノロジーをはるかに超えるその戦艦からは、
異星人の姿こそ発見できなかったものの、地球外知的生命体の存在と、
大宇宙を戦場とする闘争のある事はあきらかだった・・・

超時空要塞マクロスは、1982年、劇場版・宇宙戦艦ヤマトや
メガゾーン23などを手がけた、石黒昇監督のもと、
TVアニメシリーズとして始まりました。この作品では、河森正治さん、
美樹本晴彦さんら若手スタッフがその実力を発揮。
ヒロイン、リン・ミンメイのアイドルとしてのサクセスストーリーを
ラブストーリーを交えて描きつつ、一方で可変戦闘機・バルキリーと
異星人・ゼントラーディとの戦闘をリアルに描き、爆発的人気を集めました。
また、劇中のヒロインであるミンメイが、実際にレコードを出すという、
メディアミックスの先駆け的な作品でもあり、テレビシリーズから1年後の
84年には、河森さんが監督となり、全く新しいストーリーと、
キャラクター設定で制作されたた劇場版
超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますかも公開。
マクロス世界において、2031年の終戦20周年記念で公開された映画、
つまり劇中劇として設定されているこの作品は大ヒットを記録しました。

そしてその後、『マクロス』の世界は、さまざまな広がりを見せていきます。

92年に制作されたマクロスIIでは、
宇宙へ進出した人類が新たに出会った異星人との接触を描き、
94年に制作されたOVAマクロスプラスでは、惑星エデンで行われる
新型バルキリー開発競争と、電脳アイドル『シャロン・アップル』の物語が、
シリアスな恋愛ドラマで描かれました。

そして、マクロスプラスと同時期にTVアニメとして放映されたのが、
『マクロス界の異色作』、マクロス7!河森さんの意向で、
『マクロスプラスとはまったく対照的な作品』として制作されたこの作品では、
主人公にロックバンドのボーカルを設定。移民船マクロス7を舞台に、
主人公・熱気バサラと彼のバンド『ファイアー・ボンバー』の活躍を
描きました。バルキリーに乗りながらも戦闘をせず、
歌うというキャラクターは、マクロスの新境地を開いた作品となり、
95年には劇場版マクロス7・銀河が俺を呼んでいるとして映画化。
OVAシリーズマクロスダイナマイト7も制作され、
その人気は今も続いています。

様々な雰囲気をもつ作品が生まれた『マクロスシリーズ』ですが、
全てのシリーズに共通するのは『恋愛』と『歌声』、そして『バルキリー』。
そして、初代マクロスから数えて20年目の今年。
初代マクロスの前の物語を描いたOVAマクロスゼロによって、
新たなるマクロス伝説が、ついに動き出すことになるのです。





(取材・構成:西原)